前回の記事『勾留11日目‐弁護士の先生【体験談18】』を読む方はこちら
5号室から2号室へ居室を引越してから5日目、少し時間が経過したことで同居人23番とも仲良くなってきた。
同居人23番は、余計な事はしゃべらないが何かと親切に接してくれる。
留置場に収容されている人は、全員もれなく逮捕されてここで生活しているが仲間意識があるのか基本的に皆良い人だし、気を使い合って生活している。腹の中では何を考えてるか分からないが。
10日以上ここで暮らしているとたくさんの人が入ってきては釈放される場面を目にした。こんなにも留置場に入ってくる人が居るもんなんだと思った。
痴漢や盗撮ってのは案外多く逮捕されて留置場に入ってくるのだけど意外とすぐに釈放される。多分、示談や証拠不十分でで起訴猶予とか不起訴になって2泊のお泊りで帰っていくのだろう。世の中にはこんなにも痴漢や盗撮して逮捕される人が居るのかとびっくりした。その人達は悪びれもせず恥ずかしがりもせず「痴漢で捕まりました。」とか「盗撮で捕まりました。」とか言っていた。自分には信じられなかったし、よくわからなかった。
最近の若い人に多いのはやはり「特殊詐欺(オレオレ詐欺?振り込め詐欺?)」とか「覚醒剤」「麻薬」「大麻」あたりじゃないかと思う。ここらへんの罪状では2~3日で釈放されることは皆無で勾留期限満期の20日間勾留され起訴された後、再逮捕されまた勾留期間を最初からやり直しまた起訴されを延々と繰り返されてる人も結構いたりする。
特に「特殊詐欺 (オレオレ詐欺?振り込め詐欺?) 」で逮捕されている人は再逮捕、再逮捕で長い期間、勾留されていたり、起訴されては他の都道府県警察へ移送され、移送先で再逮捕されたりなど先の見えない勾留生活を送ってる人も居る。
ある特殊詐欺 (オレオレ詐欺?振り込め詐欺?) で逮捕された20代の青年と運動の時間に話したら「10年位でシャバに出れたら御の字じゃないっすか。金も誰にも分からないように埋めてきたし、出たら何か商売でもします。」と笑いながら話していたのが印象的だった。この青年も他の都道府県から移送されてきた口だった。
年配の人は「窃盗」や「暴行」「傷害」あとは「覚醒剤」などで逮捕された人が多いように感じた。
特に常習的に置き引きやスリで逮捕されている人が結構多い。常習的に窃盗を繰り返している人達は、そこに罪悪感など感じてなさそうで若い頃から何十年の窃盗の武勇伝を自慢げに聞かせてくる人が多い。
留置場には、家が無いような人も定期的に入ってくる。留置場に入ってくれば一日三食きちんと食べれるし、5日に1度は風呂にも入れるし、屋根もあり布団もある。暑い日にはクーラーもある。その様な人に話を聞くと「ここは最高」と言っていた。
高齢者も結構入ってくる。中には少し痴呆症気味な人、体が弱ってる人、おむつを着けて生活している人も居る。途中で倒れたりして病院に入院して退院してまた留置場に帰ってくる人が居たり。日本の高齢化社会は留置場でも顕著に表れていた。
このような高齢者には、あまり一般の面会も来ないし、弁護士も接見も来ないように感じた。
留置場には様々な人が出入りしていて、人生色々だなと思ったし、自分自身はもうこれっきりにしようと心の中で固く誓った。留置場生活ははっきり言って辛いしね。
心の中で色々考えを巡らせながら同居人23番と唯一の楽しみと言って過言ではない明日の自弁は何にするか相談した。
コメント