日本での刑法犯5件に1件の被疑者が65歳以上の高齢者になっているそうです。
まるで日本社会の縮図の様です。
法務省の犯罪白書によると、刑法犯で摘発された65歳以上の高齢者は1998年には1万3739人(高齢者の割合は4・2%)だったが、2008年は4万8805人(同14・4%)に増加。以後も高止まりし、17年は4万6264人で、高齢者の割合は21・5%と2年連続で2割を超えた。一昨年に摘発された高齢者の罪名別では万引が56・4%と最多、2人に1人は再犯だった。
摘発された高齢者の罪名では、 56・4% が万引きでした。
超高齢化社会になろうとしている日本に一体何が起きているのでしょうか。
【西日本新聞[2019/6/16]のニュース記事概要】
- 福岡県 福岡南署の出来事。
- 2019年5月5日 電動車椅子で移動する70代男性がスーパーで万引きを行った容疑で現行犯逮捕される。
- 男性は7年前に脳梗塞を患い、2019年に入ってから車いす生活をしている。
- 言語障害もあり要介護1の認定を受け生活保護を受給している。
- 男性は2018年秋に刑務所を出所したが、その後罪を重ね執行猶予中であった。
- 留置所では規則上、警察官しか入ることが出来ないため、留置担当官が介助を行わなければいけなかった。
- 男性は足をほとんど動かすことが出来ず、おむつをつけトイレや入浴も介護知識の乏しい留置担当官が行った。
- 福島南署は1974年に開設された建物で、バリアフリー化はされていない。
高齢者で微罪が多いと言えども勾留が決定されてしまうと留置場で生活を送らなければならない。
介護が必要な被留置者の生活の世話をするのは、警察署の留置管理課に所属している警察官で介護の知識が皆無な人もそこには居るだろう。
留置場に留置される期間が刑務所や拘置所に比べ短期間な事や身体障害がある被疑者や介護が必要な被疑者の受け入れを前提に考えられていない為、バリアフリーなどの設備がある留置場は、全国的に整っていません。
移り行く日本の社会にどのように対応していけばよいのでしょうか。
多くの有識者の意見としては、ノルウェーで実施されているように、介護が必要な高齢者が万引きなどの軽微な罪を犯した場合は、留置施設ではなく医療施設や福祉施設が受け皿となっているようで、医療や福祉が高齢者の犯罪を未然に防ぐ役割が担えるようにすべきとの意見もあります。
また、車いす生活を送っていることや要介護の認定を受けていることなどから、「逃亡の恐れ」がなく、万引きでの現行犯逮捕されていることから「証拠隠滅の恐れ」もないため、刑事訴訟法で定める勾留の要件を満たしていないとの指摘もあります。
警察としては「再犯の恐れがあった」としていますが、再犯の可能性は裁判所が判断することなので勾留はおかしいのではないかという指摘もあります。
このような事案が増えてしまうと、警察としても貴重な人員や予算を介護にあてなくてはならず、本来の業務が滞てしまっては元も子もありません。
留置施設のことなど、あまり世間では話し合われることも少なく、高齢加害者の対応や再犯防止対策について、警察だけではなく医療や福祉が積極的に関わらなくてはいけない転換点に差し掛かっているのではないでしょうか。
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