勾留7日目‐中間調べ(検事調べ)後編【体験談14】

先の見えない暗闇 逮捕体験談

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地検同行室で手錠をかけられ座って待つだけ。檻の外では警察官がずっと厳しく目を光らせている。少しでも話そうものならすごい剣幕で怒鳴られる。

そんな厳しく監視されているのにどうにかして監視の目をかいくぐり話しかけてくる人も中には結構居た。そんな人は、まず手錠に刻印されている警察署名を見せてきてこちらにも見せてほしそうにする。これは、どこの留置場に収容されているのかの確認だ。何のためにそんなこと知りたいのか今となっては意味不明な行動だが地検同行室ではとにかく暇だし、同室だと変な連帯感も生まれたりする。

それを見せ合えば次にはどんな罪状でここに来ているかを教え合うといった感じ。何人かと情報交換したが手で電話の形を作り耳に当てるハンドサイン。これは、「詐欺」のサイン。

本当に本当に詐欺で捕まってる人は多いと感じた。詐欺の受け子やかけ子が逮捕されているニュースを毎日の様に見るがあれは氷山の一角なんだなと思う。

留置場にも色々な外の社会では見ないような人種が沢山居るがその各留置場から地検に集まってくる被疑者たちは、バラエティーに富んでいた。見るからに危なそうな全身刺青の人、ちょっとやんちゃなヤンキー風、どこにでも居そうな大学生風、すごく汚そうで不潔そうな人、ボロボロな残念なおじさん、心が病みすぎてそうな人、外での生活ではお目にかかれないような人種のオンパレード。

地検での暇潰しは、人間観察をするしかない。人間観察をしてればそこそこ退屈を凌ぎながら過ごせる。でもそれも午前中ぐらいでどうでもよくなってくる。

本当に本当に時間が長く感じた。先の見えないゴールに向かって走ってるみたいだった。

ここで警察官が自分の番号を呼んだ。早めに自分の番が来たなとか思ってたら弁護士の接見だった。地検にも接見室(面会室)があるのは、以前の記事に書いたと思う。ここでは、弁護士の接見しか出来ず、一般の接見(面会)は、出来ない。

弁護士は、何故自分がここに来ている事を知っているんだろう。連絡が入るのかな?弁護士に直接は聞かなかったけど不思議に思った。先生は何でも把握してるんだなとも思った。

弁護士は、特に用件は無く近くにいたから寄っただけとか言ってた。飄々とした顔で。

自分が選任していた弁護士は、ほぼ毎日夜には留置場まで接見に来てくれていて「接見禁止」処分が下されている自分に代わって親や彼女、会社への用事や連絡をしてくれている。働きが良かった弁護士先生には大変感謝をしている。

弁護士との接見も終わり、再び同行室に戻された。

そこからすぐに担当検事からお呼びがかかり検事の執務室に連行された。腰縄を装着されて。

逮捕され初めての検事調べの事を「新件調べ」と呼んでいるがその後の検事調べの事は「中間調べ」と呼んでいる。

中間調べでも新件調べの時と同じように警察官(司法警察員)の取調べで作成した調書を基に進めていくので否認や黙秘をしていなければスラスラと進んでいく。

検事には、検察事務官という秘書みたいな役割の人が付いているので検事が口頭で調書の内容を言うのを事務官がパソコンでリアルタイムにタイプして調書を作成する。

検事調べはすぐに終わり、検事が「何か言いたいこととかありますか?納得してないような顔してるけど?」みたいな事を言ってきた。

自分はその時、この人鋭いなと思った。って言うのも警察の取調べに納得いかない事が逮捕されて以来ずっとあったからだった。

でも検事には、「いや大丈夫です。」とか言っても結構しつこく聞いてきたので、「じゃあ言わせてもらいます。刑事の取調べに納得してなくて、知らない事まであっちのストーリーに乗せてきて知らないと言っても大きい声とか出して調書を作成して拇印を強要してきます。どうしたらいいですか?」

これを聞いた検事は、さっき作った調書を見直し取調べをやり直してくれて自分の供述したことに沿って新しい調書を作ってくれた。自分はそれに納得して拇印を押した。

検事は、「あなたがやってなかったり知らない事で裁きを受けるのは間違っている。あなたがやったことに関しては裁きを受ける必要があるけど、それ以上でもそれ以下でもない。」と言った。

続けて「刑事にはちゃんとこっちから言っといてあげる」と。自分は、「そんなこと言ったら告げ口したみたいになって刑事にいじめられちゃうじゃないですか。勘弁して下さい」と言った。

検事は、「いや、これは、本当に大事な事だからちゃんと言っとく」自分は、「わかりました。腹を括ります。お願いします」と頭を下げ、中間調べは終了した。

勾留8日目‐引越し【体験談15】に続きます。

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