勾留質問‐地方裁判所(後編)【体験談8】

裁判所 逮捕体験談

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地裁地下の狭い同行室の硬い木の椅子に只々座り両手錠姿でひたすら待つ。廊下には監視役の警察官が行ったり来たり部屋の中を監視している。少しでも同室の人と話そうものなら怒り狂ってくる。大人しく自分を無にして順番が回ってくるのを待つしかない。

同室になった中国人はずっとふて寝している。横になる事は許されていないが目を閉じることは許されている。手錠をかけられたまま器用な体勢をキープしつつ時折いびきをかいて寝ている。

自分はとてもじゃないがこんな所では眠れないのでひたすら姿勢よく正面に顔を向けていた。時計など何もないから時間の感覚がまったく掴めない。そんな中、監視役の警察官が昼食の説明をしだしたのでお昼の時間なんだなと理解した。

昼食が各自配られ、片方の手の手錠を外してもらいもう片方の手に集められ(この状態を片手錠と言う)、同室の中国人とたまに目くばせしながら生の食パン4枚とジャムとパックのジュースという貧相な昼食を二人で平らげた。

昼食の時間もすぐ終わり手錠も両手に戻され、またいつまで続くか分からない待機時間を無心で過ごす。

どれくらい時間が経ったか分からないがやっと自分が呼ばれ裁判官が控えている部屋に連れていかれ勾留質問が始まる。

内容としては、検察官が作成した事件に関する調書を裁判官が音読して自分に聞かせて内容があっているのか間違っている所が有るか無いかの確認。調書の音読前に黙秘権に関する説明もあったかな。

黙秘権について
警察や検査の取り調べに対して、話したくなければ、話さなくてよい権利がありますが、いつまでも黙秘権を使ってしゃべらなければ、手を変え品を変え、供述を迫ってきます。黙秘したら取り調べがなくなるということも無く、釈放されるわけでもありません。

勾留質問はすごく短い時間で終わった。5分~10分位だったかな。

勾留質問が終わるとまた同行室に戻される。同行室に戻るとさっきまで一緒だった中国人が消えていた。勾留質問をする部屋は何室か正確には分からないが何室かあるから自分が呼ばれてから彼も呼ばれたのだろう。

狭い同行室の木の硬い椅子に座りながら待ち続ける。1時間?いや2時間?よくわからない。頭がおかしくなりそうだった。

そのうち監視役の警察官の一人に同行室の外に出るように促される。一つの大きい部屋に人が集められ縄一本に繋がれていく。どうやら今から検察庁に戻るらしい。
これで留置場に帰れるのかな?とか思っていた。

しかし、検察庁に戻ったらまたそこの同行室に詰め込まれ待機の時間が始まった。
やはり留置場から検察庁に行く時も検察庁から留置場に戻る時も全員揃って一気に済ます決まりみたいだ。ちなみに警察用語では各留置場から検察庁に行く事を「順送」と言い検察庁から各留置場に戻す事を「逆送」と言うらしい。

とりあえず留置場の同居人6番曰く、昨日の新件調べ、今日の勾留質問が終わればこの地獄の様な待機時間を過ごす事もしばらく無いみたいだし、ここは我慢我慢。
周りの皆さんは、イライラしていて監視役の警察官に食って掛かって別室に連れていかれてる人もいれば半端じゃないぐらい激しく貧乏ゆすりしている人もいれば泣きそうな顔をしている人も居た。

そんな色んな人を眺めていたら少しは退屈が凌げた。

その場に居る全員の検事調べや勾留質問が終わり逆送の準備が整い留置場に帰る時になった。護送車に乗り込み夕方の景色を見ながら自分が生活している留置場に戻っていく。護送車が警察署に到着するとお出迎えの警察官が数十人。自分は護送車を降りて留置場担当警察官に先導されながら2階の留置場に続く階段をゆっくり上がっていった。

留置場に着き部屋の中に入ると何だか落ち着いた。なんだこれは?おかしくなってしまったのか?こんな殺風景で汚くて変な匂いがする留置場で落ち着いてる自分。

そんな中、6番が笑顔で労いの言葉をかけてくれ、自分もそれに答えた。

10日間勾留&接見禁止決定【体験談9】に続きます。

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