前回の記事『勾留6日目‐差し入れが届いた【体験談12】』を読む方はこちら
同居人の6番も昨日釈放されたのであの屈託のないついでに前歯もない笑顔で色々教えてくれたり励ましてくれたりしてくれる人も居なく少し寂しく感じたけど何故か昨夜は眠れた。
昨日の夕方、留置場担当警察官から告げられた通り、今日は地検で地獄の様な時間を過ごさなければならない。
私の場合、事件について否認している訳ではないので検事調べは、別になんてこともない事だけど新件調べの時に経験している地検同行室で一日中硬い木の椅子で手錠をかけられながらいつ自分の番が回ってくるかも分からず一言も話さず待機させられる事を考えると憂鬱すぎた。
そんな事を考えながらも毎日毎日いつもと同じように布団を収納庫にしまい部屋の掃除。今日からは一人で掃除をしなければならなかったが少しでも気持ちよく過ごせるように一生懸命に部屋に掃除機をかけトイレ掃除をした。部屋の壁まで雑巾で磨いた。外に居る時には、自分で家の掃除をする事が余りなかったけど自分で掃除するのも良いもんだなとか思った。
いつものように部屋毎順番に洗面をし、自室に戻り朝食を待つ。全然おいしい食事ではないけれど少しずつ留置場の生活にも慣れていき食べることぐらいしか楽しみが無いからこの時ぐらいから食事の時間を秘かに楽しみにしてた。
朝食の時間になり、床に敷くゴザと冷めきった弁当スタイルの朝食が食器口から入れられる。さっさと自分でござを敷き朝食を始めた。冷めきった味の薄い弁当は元々不味いけど一人で食べると余計に不味く感じた。
6番の真似をして、ごはんに少しソースをかけて食べてみたけど自分には合わなくて、結局いつもの朝食のように味噌汁にご飯をぶっこんでかきこんだ。こんな事はしたくなかったけど背に腹は代えられなかった。
朝食の時間も5~10分程で終了し、地検に行く日なので早めの運動を済ませ、自室で出かける準備をした。出かける準備と言ってもハンカチタオルをスウェットズボンのポケットに突っ込むだけだけど。
そんなこんなで留置場を出発する時間になり、長い旅路が始まる。今日の旅路のお供は、全身刺青の見た目めちゃくちゃ怖い人と新件調べの時一緒だった少年だった。
三人共手錠をかけられロープで三人数珠繋ぎにされ、留置場に到着していた護送バスに乗り込み、指示された席に座る。席に座ると三人数珠繋ぎからそこに居る全員数珠つなぎにされる。そこに居る警察官は特殊なロープの縛り方が本当に上手だった。毎日同じことをしているのだろう。
車窓からは、普通の世界が見える。自分が居なくても普通に回っている外の世界。あれ?俺ってなんなんだろう。何か気分が変になった。普通の暮らしって幸せだったんだな。とセンチな気分。早く社会に戻りたい、そう思った。拘禁反応ってヤツかきっとその時、精神がやられてたんだと思う。
護送バスは、地検の地下出入り口に着けられ数珠繋ぎブラザーズがぞろぞろと同行室にゆっくり進む。相変わらずそこに居る警察官が「一名、二名、三名・・・異常なし」大声で怒鳴るようにブラザー達を数えている。角を曲がるとまた「一名、二名、三名・・・異常なし」この光景は見たことあったけど改めてすげぇ・・・とか思った。
同行室の前で一列に整列させられ金属探知機を使って身体検査を受ける。そして、何番の同行室か指定され座る場所も指定され同行室に入り指定された席に座った。
コメント