留置場の初日【体験談4】

暗い長いトンネル 逮捕体験談

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留置場担当警察官の「起床!!」と言う大声と共に留置場内の蛍光灯が一斉に点灯した。

一斉に全員起きだし布団を畳みだす。自分もみんなに倣い布団を畳んだ。

布団を畳んだ所で同居人6番が話しかけてきた。

6番は、50代ぐらいに見えるけどやけに顔つきだけが若い。若いというか幼いというか。

髪の毛も顔もベタベタに見える。上の前歯が全部ない。ただ起きたばかりなのにずっと優しそうな笑顔でこっちを見てる。こんな状況なのに。

この6番がここの留置場のルールを教えてくれた。

布団は部屋毎に倉庫にしまう事、その後部屋を掃除する事、その後の朝食の事、他いろいろと。ずっと笑顔。

6番はここに関しては、何でも知っている。きっと常連さんなんだと思う。留置場の担当警察官とも仲が良さそうだったし。

布団を布団倉庫に片付ける順番が自分たちがいる5号室に回ってきたので、布団を抱えて居室を出て片付けに行った。

5号室に戻る時に掃除機と雑巾とトイレ掃除のブラシを受け取り、自分たちの部屋の掃除をする。

6番と役割分担をして掃除はすぐに終わった。時間にしたら5分ぐらいかな。広くもない部屋だし家具など一切ないし、掃除はすごく簡単だった。

掃除をしなが明るい5号室を改めてまじまじ見ると、クリーム色のペラペラでごわごわなカーペットが結構汚れていて黒く変色していておまけに酷い臭いだった。なんと例えたらいいのか留置場独特の臭いだった。

少しベトベトしていた。ここでしばらく生活しなくてはならないと思ったらゾッとした。気分が落ち込んだ。マジで。

そうこうしていると朝食の時間だ。食器口という檻の膝ぐらいの高さにある頭が入らないぐらいの小窓から一畳ぐらいの丸められたござが差し入れられた。

そのござを汚いカーペットに敷き、次にお弁当のパックに入った朝食とプラスティックのお椀とインスタント味噌汁が差し入れられた。

お弁当の中身を見てみたらごはんに目玉焼き一つ、煮豆が少し、高菜みたいなもの少し、ピンクのおしんこ。

普段、外では食べる事が大好きな自分は、朝食を見てまたまたかなりのショックを受け、内心おかずはどこにあるのか?これだけ?と唖然としてたと思う。表に出さないように。


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留置場の食事事情
留置場では基本的に3食無料で提供されますが、地べたにござを敷いて動物にエサを与えるような感じで食事をとります。冷めていて量は少なく、生きていくのに必要最低限度の食事となります。自弁という制度を利用して昼食のみ、お弁当等を買うことが出来ます。

そんな朝食も6番は慣れた手つきで米にソースを二回ししてから笑顔で頬張っていた。前歯がないのにすごい早さで平らげた。ちゃんと噛んでるのかな?と心配になった。

自分も昨日のお昼過ぎに逮捕され、おにぎり2個だけしか食べてなかったから空腹だったので行儀が悪いことは承知で味噌汁の中にごはんを入れてかきこんだ。おかずがないから。でもピンクのおしんこは残した。

留置場にいる間の朝食は、いつも味噌汁にご飯を入れて食べた。

朝食の時間も10分以内に終わって食器口から空の弁当の容器と丸めたござを部屋の外に出した。

朝食が終わると運動の時間まで特にすることもないから6番と話をした。どうやら6番は、暴行で逮捕されたと言う事だった。酒に酔ってスーパーの店員に掴みかかり殴った事を能天気な笑顔で語ってくれた。

6番は酒が大好きらしい。一緒にいる間しきりに酒が飲みたいだとかタバコが吸いたいだとかずっと言っていた。

留置場一日目は、取り調べの予定もなかったので丸一日ずっと留置場の部屋で6番と過ごし色々な話をして、カルチャーショックの連続を味わった。

6番が気さくに話してくれた事などもあり比較的一日が早く感じ「あっ」という間に就寝時間になった。

送検‐検事調べ【体験談5】に続きます。

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