前回の記事『勾留7日目‐中間調べ(検事調べ)後編【体験談14】』を読む方はこちら
昨日の中間調べ(検事調べ)は、異様に疲れた。
担当検事の鋭すぎる観察眼に話すつもりもなかった刑事の取調べの納得のいかなさを話してしまった。チクっちゃったみたいでこれからの取調べがどうなるのかと心配にもなった。
自分がやっていたことに関しては、否認も黙秘もしていないし話せる限り正直に話している。
これも検事の作戦かもしれないが堅物のイメージとは違い私の担当検事は正直良い人だなと思った。
刑事の取調べにはずっとうんざりしていて、投げやりというかなんというか別に執行猶予が付くと弁護士も言ってるしどうでもいいやとか思ってた。
それをいい事に刑事は自分らのストーリーに沿った調書にならなければ癇癪を起すみたいな取調べになっていた。
検事は刑事にどんな風に話をするのだろう?それは、私には知り得なかったし今でもわからない。
その後の刑事からの取調べは変にプレッシャーをかけられたり大声で強要されるような事は無くなった。
起床の時間から一人でそんなことを考えながらいつものように布団を片付け部屋の掃除、洗面とこなしていった。もうこの一連の流れはこなれたもんだった。
同居人6番が釈放された一人部屋は誰にも何も気を遣わず快適な生活な反面、話し相手も居ないし不味い官弁(支給される食事)を一人で食べなくてはならないので余計に不味く感じる。
そう思いながら一人で朝食を食べていたら留置場担当警察官が私に「15番、朝飯終わったら引越ししてもらってもいいかな?もう少ししたら暴れん坊が入ってくるから一人部屋に入れたいんだよね」と言ってきた。
私は「勿論です。一人で退屈してたし」と言って了承した。
引越し先は2号室らしい。
2号室は留置場内の一番奥から2番目の部屋。今居る5号室からは全然見えない位置だった。
朝食が終わり、引越しと言っても持っていく荷物や家具など持ってないから着の身着のまま留置場担当警察官に促されながら2号室へ。
2号室の中には、一人ちょい悪オヤジ風のおじさんが一人だった。番号は23番、新しい同居人だ。
2号室に入る時、「よろしくお願いします」と軽く頭を下げながらあいさつした。23番も「あ、よろしく」と。
そんなわけで2号室への引越しはサクッと完了。この23番とは、これからしばらく長い付き合いになる事になるんだけど最初は年も離れているせいかこんな所での出会いだからなのかあまり話はしなかった。
本を読んで過ごしていると担当さんが「15番午後から調べねー」だとさ。
検事にチクっちゃったみたいな状況だったから午後の調べに一抹の不安が。
まあ、そんなこと考えたってなるようにしかならないさ。と不安を拭い読書に没頭。
新しい同居人23番が「もし良かったらこれ読んでね」と雑誌を差し出してくれる。おお、ありがたい。留置場に10日間ぐらい居ると外の情報が毎日回ってくる読売新聞の朝刊のみだから週刊誌とかはかなりありがたかった。
週刊誌は外でだったら読まないようなページもすべて、全ページ読んじゃう感じだった。それぐらい時間を持て余しちゃってるって事。
同居人23番に貸してもらっている雑誌を読んでたらあっという間にお昼になった。
23番も自弁を頼むタイプだったから、一緒に食べた。
午後からは刑事の調べ。刑事達が留置場に迎えに来て私は担当さんに呼ばれ手錠に腰縄。担当刑事じゃないほうの刑事に今日も「自弁食ったか?」とか聞かれる。
私は、まじでそれ聞いてどうするの?って心の中で思いながら「今日は天丼にしました」って言ったら刑事が「お前俺より良いもん食ってるな」って。だからどうした?とか思ってた。
取調室に入り座らせられいつものようにお茶をもらう。
この日の取調べは今まで捜査のちょっとした確認や雑談がメインだった。不安に思ってた事は見当違いで検事との件は、何もツッコまれなかった。
刑事からの取調べは変にプレッシャーをかけられたり大声で強要されるような事は無くなった。捜査も終盤に来てたからなのか検事のお叱りが効いているのかどっちかは、判断が付かなかった。
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