執行猶予中のパスポート取得について

パスポート 留置場情報

刑事裁判を受け有罪判決を受けてしまい懲役刑を言い渡されてしまった。しかし、懲役刑を言い渡されたが執行猶予が付いた時、直ちに刑務所に入れられるという事はありません。

裁判によって懲役刑が確定しても執行猶予が付いていると刑務所に入らず社会で生活しながら犯してしまった罪を自覚反省し過ごす事が出来きます。

但し、執行猶予中に再犯をしてしまったりすると執行猶予は取り消され本来受けるはずだった懲役刑+再犯によって受けてしまう懲役刑が科されてしまいます。

今回は、執行猶予付きの懲役刑を受けた場合のパスポート取得についてお話します。

執行猶予付きの懲役刑を受ける前に発行された有効期限内のパスポートが手元にある場合

有罪判決を受けたからといって手元にある有効なパスポートを取り上げられてしまうわけではないのでそのパスポートが有効期限内であればそれを使用し日本からの出国は問題なく出来ます。(一部、旅券法違反などで有罪判決を受けた場合は没収されてしまう場合があります。)

執行猶予付きの懲役刑が確定してからパスポートを取得する場合

国外に渡航する際、パスポートを持っていないと日本からの出国や外国への入国は出来ません。もし、パスポートを持っていなければ取得しなければなりません。

パスポートは、各都道府県のパスポートセンターで申請をして発行されます。執行猶予中など特別な事情が無ければ、戸籍謄本(6ヶ月以内に発行されたもの)・住民票・パスポート用証明写真(6ヶ月以内に撮影されたもの)・運転免許証などの身分証明書・手数料を用意しパスポートセンターで申請すれば約1週間以内に発行されます。

しかし執行猶予中のパスポート申請にはその他の書類が必要になり、また審査には1ヶ月以上の時間がかかり、その審査によってパスポートが発給されない場合もあります。

旅券法には「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者」に対しては、一般旅券の発給をしないことができる(13条1項3号)という規定があるからです。

執行猶予中に外務省の審査により発給されるパスポートは、「渡航先」や「有効期限(8ヶ月)」が制限された特別なパスポートが発給されます。

パスポートの発給を受けるためには、まず、「一般旅券発給申請書」という書類に記入します。この書面に「刑罰等関係」という記入欄があり、6項目の質問が並び、申込者は、各項目について、「はい」「いいえ」のいずれかにチェックを入れて回答するようになっています。

次の各事項に該当しているか否か、□に✔印を記入してください。
(本人又は法定代理人が記入してください。)
1.外国で入国拒否、退去命令又は処罰されたことがありますか。
2.現在日本国法令により起訴され、判決確定前の状態ですか。
3.現在日本国法令により、仮釈放、刑の執行停止又は執行猶予の処分を受けていますか。
4.旅券法違反で有罪となり、判決が確定したことがありますか。
5.日本国旅券や渡航書を偽造したり、又は日本国旅券や渡航書として偽造された文書を行使して(未遂を含む)、日本国刑法により、有罪となり、判決が確定したことがありますか。
6.国の援助等を必要とする帰国者に関する領事官の職務等に関する法律を適用され外国から帰国したことがありますか。

執行猶予中であれば上記の3に該当すると思うので「はい」にチェックを入れて下さい。

執行猶予中のパスポート申請に必要な書類

  • 戸籍謄本(6ヶ月以内に発行されたもの)
  • 住民票
  • パスポート用証明写真(6ヶ月以内に撮影されたもの)
  • 運転免許証などの身分証明書

ここまでは、通常の申請でも必要です。これに加え執行猶予中のパスポート申請には下記3点の書類が必要です。

  • 判決謄本1通
  • 渡航事情説明書
  • 上申書(外務大臣宛)
判決謄本の取り方

判決謄本を取得するには、まず裁判を受けた管轄の地方検察庁(記録)に連絡をしパスポート申請の為、判決謄本1通が欲しい旨を伝えます。

連絡をすれば判決謄本の準備をしていただけるので話が付いたら取りに行きます。郵送などは不可です。

受け取りには、免許証などの身分証明書・印鑑・判決謄本1枚につき60円の収入印紙が必要になります。必ず判決謄本の枚数分×60円の収入印紙を準備して下さい。

渡航事情説明書の書き方

渡航事情説明書についてはパスポートセンターに行けば、ひな型が用意されているのでそれに従って記入して下さい。

記入する項目

1.申請者に関する事項

  • 氏名
  • 生年月日
  • 本籍地
  • 現住所
  • 電話番号
  • 職業
  • 勤務先名
  • 住所/電話番号

2.渡航に関する事項

  • 渡航目的
  • 渡航先
  • 渡航予定期間 令和○年〇月〇日~ 令和○年〇月〇日
  • 渡航の必要性

3.事由の詳細

  • 罪名
  • 裁判所名
  • 判決年月日・判決内容

4.過去の旅券取得歴

上申書の書き方

上申書の書き方もパスポートセンターに見本がありますのでそれに倣って記入して下さい。

例文

私は、旅券の発給制限に該当していますが、今回○○○○(渡航場所)へ観光旅行を計画しています。現時点では、申し込み等はしておりませんが、許可がおり次第、旅行会社へ申し込みをする予定でおりますのでよろしくお願いいたします。

尚、渡航をした際には、慎重に行動いたします。万一不測の事態が生じた場合には、自己責任において処理いたしますのでどうか速やかに許可を頂きたくよろしくお願い申し上げます。

まとめ

判決謄本以外は、各都道府県パスポートセンターにひな型や用紙が用意されていて職員の方がレクチャーしてくれるので問題無いかと思います。

執行猶予中のパスポート取得には外務省による厳正なる審査がある為、1ヶ月以上かかるので海外渡航の予定がある方は、早めに申請したほうが良いです。

また、執行猶予中の事を隠してパスポート申請するのは旅券法違反(23条1項1号)によって禁止されているので、もしそのように申請した後で逮捕され起訴を受け有罪判決を受けてしまうと、その後のパスポート取得は極めて難しくなってしまうので絶対にしてはいけません。

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