勾留15日目‐検事調べ後の最悪の知らせ【体験談22】

眩暈のイメージ 逮捕体験談

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昨日担当さんに言われた通り今日は、地検にて検事調べの日。

いつもと1mmも違わない朝が来て、担当さんの「起床~」の声で一斉に留置場内の電気が付き皆一斉に布団から起き上がり布団をたたむ。

留置場に入ってから2週間以上経過しているのに相変わらずこの慣れない環境のせいか何なのか、相変わらず寝不足が続いていた。勾留の満期(最大23日)もあと1週間位だから、その事を自分に言い聞かせ自分を励ましていた。

寝不足のせいか地検同行室の地獄の様な長い長い辛い辛い待ち時間のせいか気分は憂鬱だった。

憂鬱でも時間は勝手に流れ、私もその流れに乗り布団を倉庫に片付け、居室の掃除、トイレ掃除、洗面とやらなくてはならない事を流れ作業のようにこなしていく。もう流石に慣れたもんだった。

同居人23番と朝食を食べながら「今日も一緒に自弁食べられないっすね」とか話しながら朝食もすまし、皆より早く運動の時間で外の空気を楽しみ地検へ行く為の準備をする。準備と言ってもハンカチタオルをスウェットのズボンのポケットに突っ込むだけだが。

そうしていると、担当さんが「出発の時間だよ」と呼びに来て23番も「いってらっしゃい」と送り出してくれた。自分の居室を出て出口に向けて担当さんと歩いていると昨日一緒に自弁を食べた1番が「今日はあっちか?お土産買ってきてね」と笑顔でおどけていた。

いつものように留置場の出入り口付近で手錠と腰縄を装着され、護送バスの到着をその場で少し待つ。今日一緒に地検に行くのは、私も含め3人。

護送車が警察署に到着し、腰縄で数珠繋ぎにされた3人でバスに乗り込んだ。バスに乗り込む際には相変わらずすごい数の警察官が見送っている。逃亡しないように見張っているのだろう。

座席に座ると、いつもと同じように担当警察官が地検へ行く際の注意点など一語一句間違えず同じことを言っている。毎日毎日これが繰り返されているのだなと思った。

話しをうっすら聞きながらバスの窓から外の世界に視線を移す。バスの外では、普通の日常が流れているように見える。私が社会不在でも世の中は普通に回っている。外の景色を眺めながら何というかなんとも言えない気分になり早く外に出たいと、この状況に我慢できなくなりそうになった。

護送バスは、いつものように同じルートを回り、地検に近づいて行った。と思ったら、いつものルートを外れいつも寄らない建物に入って停まり、護送バスの前のほうにカーテンが敷かれた。

窓から外を見てみると建物の中からグレーのスウェットを着て手錠・腰縄で数珠繋ぎにされた女性の姿が見えた。女性が乗ってくるからバスの前方側の席がカーテンで仕切られたのかと察した。このようなパターンがあるのかと初めて知ったと同時に少し驚いた。

いつもとは違うパターンがありつつも地検に到着し、一番最後に乗ってきた女性たちが先に護送バスを降りカーテンが外され、次に男性たちが次々とバスを降りた。

バスのドアの側で警察官が「一名、二名、三名・・・」声を張り上げていた。地検の地下入り口でも警察官が「一名、二名、三名・・・」すごい。ここはいつでも緊張感が張り詰めている。だれも笑っていない。

ここからが地獄の始まり。いつ始まるかも分からない検事調べに向け同行室の硬くて冷たい木の椅子で手錠もかけられっぱなしの状態で座って待つ。ただひたすら待つ。辛い、辛すぎる。これは経験してみなければどれだけ辛いかは伝えきれない。まあ、経験する必要もないのだが。

死ぬ程長く感じる時間、今日は隣の奴が見張りの警察官の目を盗み話しかけてくる。どうやら彼の話によるとまだ未成年の少年らしい。留置場では、少年と成人では居室が分かれていて顔を合わせる事もなく、いつも一人だから彼にとっては地検に来ると人と話せるチャンスらしい。

彼は一人でずっと留置されていて精神的にかなり参っている様だった。ちなみに彼は、詐欺に加担していたらしく何とか鑑別所で済めばいいなと言っていた。私は、詐欺で逮捕されて鑑別所で済むのかな?それじゃ済まないんじゃないかと心の中で思ったが彼を励ました。

午前中には、検事調べの順番が回ってこず昼食の時間に。彼のおかげで前回より時間が過ぎるのが早く感じた。

午後になり見張りの警察官にマークされ始め彼とあまり話せなくなってきた。少しでも話している所を見られたり、声が聞こえたりしたら見張りの警察官が親の首でも取られたか位の勢いで怒り狂ってくる。

そうこうしてるうちに警察官に呼ばれ検事室へ連行され検事調べが始まる。捜査も大詰めにきていて事件の大きな流れから細かい部分まで念入りに調べ検事が調書を作成していく。

調書を作成しては確認し訂正しては確認し、また作成しの繰り返し。

検事調べも終わり、また同行室に戻される。

同行室に戻るとまた少年が警察官の目を盗んで話しかけてくる。彼曰くこれが終わったら更生して真面目に生きていくといっていた。私もそれには同意しそうしたほうが良いよと言った。

検事調べも全員終わり、帰る段階に入り(帰るといっても皆留置場に帰るのだが)隣の少年とも別れの時間だ。もう二度と会う事もないだろう。少年は小声で「お互い頑張りましょう」と言っていた。私も「そうだね。頑張ろう」と答え別れた。

留置場に帰る護送バスの中で外の景色を見ながら早く家に帰りたいとか事件についてとか色々考えを巡らせていた。

留置場に帰るともう夕方ですぐに夕飯の時間になった。同居人23番と夕飯を食べながら地検の話しとか話し、夕飯が終わると日記や弁護士宛の手紙など書いた。

普段、ボールペンを借りることが出来るのは午後の17:00ぐらいまでだが地検に行った日や警察の取調べで留置場の居室を空けている時などは、17:00過ぎでも就寝準備前ぐらいまでは借りれる事になっている。

就寝時間にあっという間になり、布団に横になりながら考え事をしていた。今日の検事調べの事やこれから先の事、起訴されるのかされないのか疲れて眠いんだけど眠れないような感じでウトウトしながら纏まらない思考でうろうろしていた。

寝ようかなと思っていた時に担当さんがこちらに歩いてきて「15番弁護士先生が来てるよ」と。私は担当さんに「今何時ですか?」と聞いたら担当さんが「22:30」位と答えた。

担当さんが檻(留置場の居室)のカギを開け外に出るよう促してきた。自分のロッカーによりノートを取り、担当さんにボールペンを借り接見室へ入った。

無精ひげを生やした弁護士が座っていた。

私は、「遅くにご苦労様です」と声をかけそこに置いてあるパイプ椅子に座った。

弁護士は私に「今回この件は、ほぼ起訴されます。ですが、ほぼ執行猶予になると思いますのでそこを狙っていきましょう。正直言ってむしろこの案件では私が付いていなくても執行猶予にはなります」

私は、それを聞いて「そうですか。わかりました」と答えた。

弁護士は「それとあと一つ悪い知らせがあります。」私はそれを聞きビビりながら「何ですか?」と尋ねた。

弁護士「この件が終わったら○○の件で再逮捕もしくは、任意の捜査を受ける事になります。」

私「再逮捕?ですか」

弁護士「再逮捕されるか任意の捜査になるか警察の方針はまだ分かりませんが再逮捕されたほうが良いと私は思います。なぜなら再逮捕されれば最長23日の勾留で済みます。もし任意の捜査で警察が捜査するなら期限が決まってないので大げさに言うとこのまま留置場に拘留しながら何カ月だって捜査される事になりますから」と言った。

私は、この勾留生活もあと1週間だと思っていたので眩暈がした。

どうやら外に出られるのはまだまだ先の様だった。先が全く見えくなった。

勾留16日目‐外に居る両親や彼女、仲間への伝言【体験談23】へ続きます。

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